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なぜ里親が必要? - Tokyo里親ナビ|子どもと里親の暮らしを知るサイト

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なぜ里親が必要?

どうして里親が必要なの?

そもそも里親とは、どういう人のこと?

貧困や虐待、実親の病気など、実家庭で生活できない子どもは現在全国に約4万5000人います。

令和3年5月 厚生労働省 資料集「社会的養育の推進に向けて」

 

こうした子どもを実家庭に代わり、公的に育てる仕組みを「社会的養護」と呼んでいます。

そして、社会的養護が必要な子どもを、行政から委託を受けて、家庭に一時的に預かり育てるのが、里親です。

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どうして里親が必要とされているの?

日本では、社会的養護が必要な子どもたちの約8~9割が、乳児院や児童養護施設などの施設で暮らしています。実家庭への復帰が見込めない場合、子どもは児童養護施設で18歳まで過ごし、社会に巣立ちます。施設が、社会的養護が必要な子どもたちの中心的な受け皿となっている背景には、第二次世界大戦によって親を失った戦災孤児が多く発生し、緊急にその対応が求められたことが指摘されています(二木 1986; 12)。

 

しかし戦後長く経過しても、施設中心の状況は変わらず、現在も日本の里親委託率(2016年度末)は18.3%と、国際的に見ると低いのが現状です(※)。国連などの国際組織からも、施設依存の日本の問題点が指摘されるようになり、政府は2016年、児童福祉法を改正し、「家庭養育」優先の原則を掲げました。

※制度が異なるため、単純な比較はできません。

 

この「家庭養育」の推進のため、政府は2017年8月、今後の社会的養育のあり方を示す「新しい社会的養育ビジョン」を取りまとめ、「就学前の子どもの75%」「就学後の子どもの50%」を、里親に委託する目標を掲げました。様々な取組を通じて、子どもの最善の利益の実現を図っていこうとしています。

 

具体的には、特に就学前の子どもは、家庭養育優先を実現するため、原則として施設への措置入所を停止する方針を掲げました。里親への包括支援体制(フォスタリング機関)を強化し、里親のなり手を増やすと同時に、里親の質を向上させる方針を示しています。また、子どものパーマネンシー(同じ家庭で大人になるまで育つ権利)を保障するという理念のもとで、実家庭で養育できない子どもや、実家庭に戻ることが困難な子どもの特別養子縁組を推進する方針も掲げました。

 

社会の子どもを育てる血は繋がらなくても、「社会の子どもを育てる」という意識が大切に。(写真=鈴木愛子)

 

特定の大人(養育者)と愛着関係を築ける子どもを増やす

子どもたちの健やかな育ちを考えるうえで、注目すべきキーワードが、愛着関係(アタッチメント、attachment)です。子どもが、特定の他者との間に結ぶ情緒的な絆のことで、英国の心理学者、ジョン・ホウルビィが1969年に理論化しました(庄司2008; 3)。社会的養護のもとに暮らす子どもたちが、健康に発達していくためには、特定の大人(養育者)と信頼のおける愛着関係を維持して、安心感を得ながら暮らすことが求められています。社会で今、求められているのは、こうした特定の大人(養育者)と愛着関係を築ける子どもを増やすことです。

 

子どもが健やかに育つため特定の大人(養育者)との愛着関係は、子どもが健やかに育つためには必要です。

 

現代の乳児院や児童養護施設は、子どもと職員が愛着関係を築けるように、担当制を徹底させるなどさまざまな配慮や工夫がなされています。また職員は愛情と使命感も持って、子どもに接してもいます。しかし、どうしても1人ひとりの子どもに十分な時間を割くことが難しいという構造的な制約があります。その一つは、職員の人手が足りないという問題です。ほかにも、交替勤務のために時間帯によって子どもに対応する職員が変わってしまい、子どもが常に同じ職員と関われないという問題もあります。

一方で、里親家庭では、子どもが24時間そこで暮らす里親といることができるので、施設よりも安定した「愛着関係」を築きやすく、子どもの健やかな育ちに資するといわれています。

 

※参考文献 
庄司順一・奥山眞紀子・久保田まり編(2008)「アタッチメント 子ども虐待・トラウマ・対象喪失・社会的養護をめぐって」(明石書店)
二木武(1986)「全乳協のあゆみ」『全乳協30年史』全社協乳児福祉協議会

里親になりたい方・関心のある方へ
~元児童相談所の臨床心理士Mさんからのメッセージ~

子どもたちに「自分には価値がある」という選択肢が加われば

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幼い時期に特定の大人との愛着関係を築くことが難しかった子どもでも、里親さんとの出会いによって、健やかに成長をしているケースに数多く出会います。多くの方に里親さんになっていただき、家庭養育で、子どもたちが今まで習得してきた認知に新しいものを加えて、選択肢を増やす機会を提供してほしいと考えています。

里親さんのもとで、愛着関係を育み、穏やかな暮らしを継続して送ることができれば、子どもたちの認知の視野が広がることが期待できます。子どもたちの心の中のリストに、「信頼できる大人もいる」「自分には価値がある」という選択肢が加われば、ずっと生きやすくなります。子どもたちが、里親さんに恵まれ、信頼できる人間関係の中で育ち、安心して自分らしく生きて欲しい。そう心から願っています。

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