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里親Story #04 - Tokyo里親ナビ|子どもと里親の暮らしを知るサイト

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里親Story

里親Story #04

齋藤直巨さん(43歳)、竜さん(52歳)ご夫妻

Naomi , Saito &  Ryo , Saito

「里子を迎え、一緒に生きる仲間が増えました」

齋藤直巨さん(43歳)、竜さん(52歳)ご夫妻は、2人の実子と話し合い、当時3歳だったR美ちゃんを家族として迎えました。現在、R美ちゃんは小学6年生に成長し、友人たちと大好きなサッカーを楽しんでいます。「一緒にご飯を食べて、おしゃべりをする仲間が増えて、毎日色々あるけれど、楽しい」と話す直巨さんに、里親暮らしの日常を伺いました。

(聞き手・文・写真=清水麻子)

 

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profile

齋藤さんご夫妻 <2008年、東京都の養育家庭(里親)に登録>

さいとう・なおみ 高校生、中学生の実子と、小学生の里子の3姉妹を育てる。任意団体「チャレンジ中野!Grow Happy Family & Community」代表。地域子育て支援アイデア「地域でつながる子育て&里親制度」で、東京大学主催の政策コンテスト「チャレンジ!オープンガバナンス2016」総合グランプリ受賞。親も子も安心・安全に育つ地域子育て環境を目指しアドボカシー活動(※)を行う。都内の公立保育園で英語のアクティビティを始めて15年目に。

さいとう・りょう 映像制作会社経営。

(※)アドボカシー活動

市民やNPOが、社会の課題とその解決策を提起し、多様な組織と合意形成を図り、望ましい社会に向けて良い政策をつくりあげていくこと。

※年齢は2018年8月現在

一緒に手作りをする日々が楽しい

━━里子を含め3人姉妹の子育ては大変そうですが、楽しそうです。

 

直巨さん 大変だけど、楽しいです。夕食は、基本的にみんなで一緒にとりますが、その日あったことを話したい女子達が順番を競って喋るので、とっても賑やかです。初めは自己主張が苦手だったR美も、「あのね~あのね~」と学校のことやら、愚痴(!)やら、いろいろ、お話ししてくれます。
手仕事の好きな一家なので、お祖母ちゃんのお友達に張り子を習ったり、味噌を作ったり、お父さんは子ども用のベッドを作ったりします。子ども達は、それぞれやりたい時だけ参加します。
長女と次女は手作りをすることが好きで、末っ子のR美は「食べる係」と「見て楽しむ係」という感じです。黙っていてもお姉ちゃん達が美味しいものを食べさせてくれるという確信があるみたいで、「自分はやらなくても大丈夫」とのんびりしています。
今年の梅シロップの仕込みは、長女がリーダー、次女と私は梅のおへそを取る係、R美は周りでウロウロして楽しんでいました。

 

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子ども達とお祖母ちゃんとが一緒に作った、張り子細工。

 

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今年の梅シロップ。

 

直巨さんの、ある1日のスケジュール
6時半

起床
父さんが朝食を作る 腹ペコ順に朝食

7時15分~8時子どもたちの登校を見送る
8時半家事、さまざまな活動をスタート
16時夕飯のお買い物、時々子どもと一緒
17時夕飯作り~途中に休憩、家事、おしゃべり(ちょっと多め)
19時夕食 家族でおしゃべり、たまにテレビ
22時子どもの就寝後、のんびりタイム。
24時就寝

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生きているという事は当たり前じゃない

━━里親登録のきっかけを教えてください

 

直巨さん 里親を始めた当時は実子の子育て真っ最中。毎日毎日、子どもにご飯食べさせて、世話をして、色々やっているうちに1日が終わる。そんな生活を送っていました。この小さな暮らしの中で、子育てに集中している今だからこそ出来る事もあるんじゃないかなと考えたのです。
そんな風に考えるようになったきっかけは、流産で子どもを亡くした経験でした。切迫流産で苦しんでいる時も、親として出来ることは寝ていることだけ。激痛があっても、子どもを守るために痛み止めは飲めませんでした。
そんなに頑張っても、我が子は、消えるようにして亡くなってしまった。抱きしめることさえも出来ず、あまりの喪失感に身を引き裂かれるような思いでした。茫然とする中、「生きているという事は当たり前じゃない」という言葉の、本当の意味を知りました。
「生きている子どもを大切にしいたい」と強く思うようになったのは、亡くした子どもには何もしてあげられないんだという絶望と、生きているならば、実の親でなくとも何かしてあげられることはあるという希望が生み出したものだと思います。
元気に生きていてくれたら花丸!という気持ちで里親になったので、「社会貢献します」とか大それた気持ちはありませんでした。ただ、私たち家族の小さな暮らしの中で、一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒に安心して眠る。共に生きる仲間になれたらなという、とてもシンプルで小さな願いみたいなものがあったと思います。


━━里子を迎えると決めたとき、お子さんたちには、どんな話を?

 

直巨さん 子どもたちには「こういうふうに過ごしている子どもたちがいるんだよ」という話をしたり、ニュースで特集をしていたら「これどう思う?」と投げかけたり、チャンスがある時に自然に話題にしていました。子どもたちは、「子どもの仲間が、寂しい思いをしてるの?」「仲間になったらいいよ、うちに来て一緒に暮らしたらいいのにな!」と、小さいながらに共感したようで、里親になることを応援してくれました。

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生まれてきた命を大切にしたい

━━もともと里親にご関心があったのですか?

 

直巨さん はい、何故だか結婚前から関心がありました。
当時、不妊の問題がクローズアップされてきた頃で「もしかしたら私も不妊かもしれないな」と考えることがよくありました。もし子どもを産めなかったらと考えた時に、せめて里親になれたらいいなとぼんやり考えていたのです。その時の気持ちって今考えると不思議ではあるのですが、自分自身の育った環境も影響していると思います。
母は3人の子を抱えるシングルマザー、姉は異父姉妹です。ここまで聞くと悲壮感を感じる人もいるかもしれません。けれども、母は「全部私の子!可愛い」という考え方なので、血の繋がりなんて気にせず育ちました。
祖母も、母の兄弟も、その連れ合いもみんな一緒になって育ててくれたので、感覚的には父母が3セットいる感じです。猛烈に働いていた母が頑張れたのも、休み毎にレスパイトしてくれる家族がいたからかもしれませんし、子どもの私にとっては、親類の家に週末毎に遊びに行けるというのは、とても楽しい経験でした。
遊びに行った時も「ただいま~」と家に入るほど、どの家もリラックスできる実家のようでした。従兄弟が同年齢だったので、お正月にはみんなで集まって「ドラえもんスペシャル」を観たり、夏は近所のプールに繰り出したりしました。遊びに行った時も「ただいま~」と家に入る程、どの家もリラックスできる実家の様でした。感覚としては兄弟のようなもので、今でも仲良くしています。

 

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大切な家族、母、兄弟、従兄弟、夫、子どもたち。

 

━━ご主人は、里子を家に迎えることに賛成でしたか?

 

竜さん 賛成でした。もともと夫婦だって血がつながってないし、子どもだけ血がつながってなきゃいけないなんて思わなかった。実子もいましたが、私にとってはみんな可愛いうちの子です。昔は家を守るために親戚同士で養子縁組をすることはよくあって、僕の父母も家を継ぐために養子だったり養女だったりします。里親になることを親類にも話しましたが、誰一人として反対しませんでした。正直なところ、真面目で心配性の家系なので、面白いこともあるもんだねと妻とも話しました(笑)。


直巨さん 同居中の義母もあたたかい人で、里子を迎えることに心配もあったようですが賛成してくれました。里親仲間に聞くと、家族やご両親、親戚の方に理解してもらうことは難しいところもあるみたいです。責任感の強い国民性のせいかもしれませんね。他所の子を預かってちゃんと育てられるのかと心配されることが多いと思います。
確かに責任の伴うことだけれども、子どもの笑顔がイキイキとしていく姿を見ると、シンプルに幸せを実感するんです。最初は反対していた家族や親戚も、いざ子どもと生活を共にすると、同じように実感するのでしょうね。すっかり仲良しになっちゃったという話も聞きます。
里親の役割の大切さが社会全体に理解されて、安心して預かれるサポートが充実すると、家族や親戚も安心して応援しやすくなるのかもしれませんね!

 

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竜さん手作りの子どもたちのタオル掛け。

 

━━実際にR美ちゃんを迎えて、いかがでしたか?

 

直巨さん 乳児院から迎えたので、子どもにとっては初めての家庭生活に不安があったんだと思います。R美は、「何されるのも怖い」と感じていたようです。私も普通のリアクションを想定していると、全然違うリアクションが返ってきたりして、驚くこともありました。
食事には苦労しました。食べるのが遅くて、パン1枚に2時間とか3時間かけていることもありました。これは実子の子育てでは経験しなかったので、戸惑いましたね。今では勝手にパンを焼いて、たくさん食べていますけど(笑)。
納豆も「大好き」って言っていたんですが、実は大嫌いで、そのことをR美は1年半くらい言えずにいたのです。子どもって、嫌いな食べ物は「嫌い」って言って、食べてもくれないじゃないですか。でもR美は、「好き」と言い続けたんですね。実子2人は納豆が好きなので、R美にとって「納豆が好き」と言い続けることが、この家の仲間でいられると自分なりに解釈していたのかもしれません。

 

━━納豆が嫌いなことに、いつ気づいたのでしょうか?

 

竜さん 二女が「知ってる? R美、納豆すごく嫌いなんだよ」と妻に教えたみたいです。

 

直巨さん そうなんです! 驚愕の事実でした。私達夫婦は「R美は納豆が好き」と頭にインプットされてたので、せっせと用意しちゃってました(笑)。
半信半疑な気持ちで「納豆嫌いなの?」と聞いたら、とっても気まずそうな顔をしたので、あら本当なんだと理解しました。そこで「食べたくないもの食べると辛いでしょ? 嫌いって言っても大丈夫なんだよ」と伝えました。そうしたら、「納豆巻きは好きなんだよ」と必死に返してくれましたが、それも実のところ嫌いでした(笑)。
今では苦手なものを「苦手だから食べたくない」と言う度に、この話を思い出してR美と一緒に笑ってしまいます。「嫌いを言えるようになったなんて、本当に素晴らしいよねぇ!私!」とふざけている姿は親としては安心するし、その調子で自分の「嫌」をしっかり伝えられるように育ってくれたらなと思います。
乳児院では眠り姫といわれるくらいよく眠る子だったようです。眠り姫なんて可愛いね~と何気なしにその話をしたとき、その本当の理由をR美は教えてくれました。とても可愛がってくれた担当の先生を守りたかったというのです。先生が他の子達が泣いて困っているのを助けたくて、指しゃぶりしながら本当は泣きたかったけど、我慢している間に寝ちゃったのと。
この話をR美が教えてくれたとき、私は子どもにも深い思いがあるんだなぁと驚きました。当時はまだ赤ちゃんだったR美。小さいながらもそんな思いで頑張っていたなんて、なんて健気な良い子なんだと号泣してしまいました。
「そんな思いで頑張っていたなんて、強い子だね。R美なりに先生を守ろうとしてたんだね。それくらい大切で大好きなんだね!」といって思いっきり抱きしめました。2人とも色んな思いがこみあげて、抱き合ってワーワー泣いてしまったのも良い思い出です。

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愛情を補う時間

━━齋藤家に来ることができて、良かったですね。

 

直巨さん そうですね。こんな素敵な子と出会えて嬉しいです。
彼女が同じように思ってくれるかどうかが気になりますが、大人になるまでわかりませんね。良かったと思ってもらえたら嬉しいな。
里親の経験を振り返って思うのは、子どもが成長するって、強制的にでも誰かの時間を占領して、その人をブンブン振り回し、うん、どうやら私はこの人にとって大切な人らしいぞと納得することが必要で、それには一定の時間、満足する時間というものが存在するような気がするのです。
話を聞いてくれないとヤダヤダ大魔王の時には、R美のながーい話に付き合い、パン1枚に2~3時間かけて食べてるのをひたすら見守るのも、これまで欠けていた「時間」をキッチリ取り戻していくための大切なプロセスだったと思います。
1つ1つ、満足するまでやり切ると、それだけ笑顔とパワーが増えて、その子本来の姿に戻っていくようです。取り戻した後の彼女は、実は私なんか敵わないほどの強さを持っているなと感じています。私が落ち込んでる時に「大丈夫!直さんなら出来るよ」と励ましてくれたりして。立場が逆転することも嬉しい驚きで、とても頼もしく思います。
乳児院では1人1人布団は別なので、添い寝されることに不慣れだったR美。抱っこされると緊張して眠れなかったのに、この頃はお休みのハグをしている間にうとうとしちゃうこともあります。
「直さんがいると大丈夫、安心!って思うんだもん」と、のほほんと言われると、本当に嬉しくなります。
とても素敵なタカラモノさんは、今日も元気に育っています。背もグングン伸びて、小学生の間に抜かされちゃうだろうな。大人になるのも楽しみだけど、これからの毎日も、とても、とても楽しみです。

 

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R美ちゃんが作ったステンドグラス。作る作品類が年々、暗い色からカラフルに変化しているようで、直巨さんは「日々、成長を感じます」と話します。

 

 

里親に興味がある・なりたい人へ 齋藤直巨さんからのメッセージ
~なんてことない日常が一番しあわせ~

初めの頃は、自分も子どもも緊張してギクシャクしてたけど、一緒に暮らすことに馴染んできた今では、なくてはならない大切な家族になりました。一緒にふざけたり、真剣に喧嘩したり、子どもとのなんてことない日常が一番しあわせだなぁと感じています。

私たちのような長期の養育だけでなく、短期で預かるという「子育て支援」としての役割もありますので、「子育てしたいな」「里親してみようかな」と考えている方がいたら、是非、一歩踏み出して欲しいです。

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